電池材料開発から量産へ ― なぜ研究開発段階でR2Rプロセスが重要なのか?
電池材料の研究開発から「量産」を見据える
EV、定置用蓄電池、データセンターなどの市場拡大を背景に、電池および電池材料の研究開発が活発化しています。
日本でも2026年6月に「蓄電池・電源産業戦略」が改訂され、国内製造基盤の強化に加え、全固体電池をはじめとした次世代電池の実用化に向けた取り組みが進められています。
また、NEDOでは2026年度から「革新型蓄電池技術開発・高度解析」を開始しています。資源調達リスクの低減と高性能化を両立する革新型電池の実用化を目指し、材料開発だけでなく、材料合成のスケールアップや工業製造プロセスの試行まで含めた研究開発が進められています。
こうした電池材料開発において、一つのポイントとなるのが、
「研究室で得られた成果を、どのように量産プロセスへつなげていくか」
という課題です。
ラボで成功しても、量産で同じ結果になるとは限らない
研究開発の初期段階では、小さな基材への塗布やバッチ式の実験によって、材料の性能や塗工条件を評価するケースが多くあります。
しかし実際の量産工程では、基材を連続的に搬送しながら、
塗工 → 乾燥 → 搬送 → 巻取り
といった工程を安定して行う必要があります。
そのため、小面積で良好な結果が得られた材料であっても、連続プロセスに移行すると、
- 塗工膜厚の均一性
- 塗工速度
- 乾燥条件
- 基材の搬送安定性
- ウェブ張力
- 材料使用量
- 塗工液の供給条件
など、新たに検討すべき要素が生じます。
近年では全固体電池の分野でも、研究開発から量産立ち上げまでの期間を短縮する「Lab to Fab」という考え方が注目されています。2026年8月には日立ハイテクが、全固体電池向け正極活物質のコーティング条件探索を効率化し、研究開発から量産への移行を支援する取り組みを発表しています。
そこで重要になる「ラボスケールR2R」
量産を見据えた材料・プロセス開発の一つの方法が、研究開発段階からRoll-to-Roll(R2R)プロセスを取り入れることです。
R2Rでは、ロール状の基材を連続的に搬送しながら、塗工や乾燥などの処理を行います。
研究室でもR2R方式による試作を行うことで、量産設備を導入する前の段階から、実際の連続生産に近い条件で材料やプロセスを評価できます。
特に電池材料では、スロットダイコーティングなどを組み合わせることで、電極材料や機能層を一定の条件で連続塗工し、塗工条件と材料性能の関係を検証することができます。
ラボスケールR2Rで検討できること
例えば、
「塗工速度を変えると膜厚はどう変化するか?」
「乾燥条件を変更すると電極特性にどのような影響が出るか?」
「バッチ塗工で得られた材料性能を、連続塗工でも再現できるか?」
といった検証が可能になります。
研究室で材料そのものの性能を評価するだけでなく、「実際に連続生産できる材料・プロセスなのか」まで早い段階から確認することが、量産へのスケールアップを考えるうえで重要になります。
infinityPV Laboratory Roll-to-Roll Coater
K Converting Solutionsでは、デンマークのinfinityPVが開発するLaboratory Roll-to-Roll Coater(ラボ用R2Rコーター)を取り扱っています。

infinityPVのR2Rシステムは、研究開発用途を想定したコンパクトな設備で、スロットダイコーティング、乾燥、ラミネーションなど、用途に応じて構成をカスタマイズできるモジュール設計を特徴としています。
電池用途では、電極材料の塗工やスラリー条件の評価など、研究開発からR2Rプロセスへのスケールアップを想定したシステムも用意されています。
「材料開発」から「プロセス開発」へ
新しい電池材料を実用化するためには、材料そのものの性能だけでなく、その材料を安定して製造できるプロセスを構築することも重要です。
研究開発の早い段階から連続塗工・乾燥・搬送条件を検証することで、量産段階で発生する課題を早期に発見できる可能性があります。
KCSでは、電池材料をはじめ、機能性フィルム・電子材料などの研究開発用途に合わせたR2R設備についてご相談を承っています。
「バッチ式の研究から連続塗工へ移行したい」
「研究室でR2Rプロセスを検証したい」
「将来的な量産を見据えた塗工設備を検討したい」
といったご相談がございましたら、お気軽にK Converting Solutionsまでお問い合わせください。