【フィルム】ロールタイプ別効果が出やすいポイントは?しわ取りロールの活用事例もご紹介
フィルム、紙、不織布、金属箔といったウェブ材料の安定した搬送は、製品を効率的に生産するための基盤となります。しかし、その過程で避けられないのが、様々な要因によって発生するしわやたるみです。これらを効果的に除去し、歩留まり改善に重要な役割を果たすのが、しわ取りロールです。
こちらでは、ロールタイプ別効果が出やすいポイント、しわ取りロールの活用事例をご紹介します。
ロールタイプ別効果が出やすいポイント

工業用のシート(フィルム、紙、不織布、金属箔など)を搬送する際に発生するしわや縮みを除去するためのしわ取りロールは、多種多様なタイプが存在し、それぞれ異なる拡幅原理にもとづいて設計されています。効果を最大限に引き出すためには、各ロールタイプが理論上どのような状況で最も効果を発揮するのかを理解し、適切な設置場所や使用条件を選定することが不可欠です。
エキスパンダーロール
エキスパンダーロールは内部に湾曲した軸を持ち、回転によって外側に広がる力を生み出すことで、ウェブの幅を広げ、しわを除去します。また、走行中の素地の表裏に摩擦やスリップによる損傷を与えないようになっています。
コーティング、ラミネート、スリットや巻取りなどの動作(加工)を行う直前の箇所に配置することで、後続の工程での不良発生を抑制することが可能です。
また、ドライヤー出口後や高張力搬送などによってウェブに発生したしわやたるみが、搬送過程で固定化され折れじわに発展してしまう箇所、またはその手前の箇所にエキスパンダーロールを配置することも有効です。
特に、二次電池電極用金属箔のように、高温環境から急冷されることで折れじわが発生しやすいケースで、その防止に活用されています。
フラットエキスパンダーロール
フラットエキスパンダーロールはロールの外周にゴム紐を配置し、回転とともにゴム紐が伸び縮みすることで、ウェブを拡幅してしわを取り除きます。
湾曲ロールのようにウェブを局所的に過度に伸ばすことなくしわを除去できるため、湾曲ロールで発生しやすい中央部での過剰な伸びや耳端付近でのたるみが発生することはありません。
ロール中央から外に向けてゴム紐がスムーズに伸長することで、拡幅力が均一かつ連続的にかかり、素材に過度なストレスを与えずにしわを取り除ける点が特徴です。
高性能な高速対応機構を種々設け、高速なラインにも対応可能です。
コンケーブロール
コンケーブロールは、表面が中央に向かってわずかに凹んだ形状をしています。端部と中央部に発生する周速差と、ウェブがローラー軸に対し直角方向に進入する性質を利用してしわを伸ばします。
薄膜化が進むフィルムの搬送では、搬送方向に平行な波状しわが発生しやすいですが、コンケーブロールは極薄物フィルムの低張力搬送・しわ伸ばしに効果を発揮します。
コンケーブロールではマイクログルーブ(微細溝)加工が施されることが多く、これにより、ロールとウェブ間の摩擦を最適化し、滑りを抑制しながらも、必要なグリップ力を確保します。
しわ取りロールには他にも様々な種類があり、それぞれのロールの特徴と利点を理解し、生産ラインの特定の課題やニーズに合わせて選択することが重要です。
しわ取りロールの活用事例

しわ取りロールは、様々な製造プロセスにおいて、ウェブ搬送中のしわやたるみを効果的に除去する役割を果たしています。
こちらでは、しわ取りロールがどのような装置のどの位置に、どのように活用されているかの具体的な事例をご紹介します。
金属箔のドライヤー・乾燥工程
スラリー塗工後のドライヤー入口・出口部では、温度変化により非塗工部に折れじわが発生します。乾燥機のドライヤーロール直後にしわ取りロールを設置することで、幅方向に一定の拡幅力を与え、金属箔(銅箔・アルミ箔)のしわを除去し、コイル状への巻取りトラブルを防止します。
金属箔のヒートプレス・冷却工程
ヒートプレス装置を通過した直後から冷却ロール手前にかけては、加熱・冷却による塗工面の熱収縮でしわや割れが発生しがちです。プレス後・冷却前にしわ取りロールを挟むことで、プレス時のしわを消しつつ、冷却時の収縮を適度に緩和し、塗工面のしわ・割れを抑制します。
紙・不織布などの巻取り・ワインダー・リール工程
新聞紙や包装紙、不織布、フィルター材などを巻き取る際、最後のワインダーロール直前にしわ取りロールを設置することで、巻取り時のテンション低下による縦ジワや弛みを除去します。幅方向に均一な拡幅力を与えることで、巻きズレや重なりを防ぎ、巻取り品質を安定化させます。
コーター・塗工工程
リチウムイオン電池セパレータや粘着テープなど、基材に塗工を施す前後のドライヤー入口・出口、さらには巻取り前後にしわ取りロールを導入。乾燥時の熱によるやラインスピードアップなどによるしわやたるみを解消し、コーティング後のトラブルを解消します。
スリッター・カッター工程
スリット機の刃物前後(スリット前後)にしわ取りロールを配置すると、テンション変動によるしわを取り除き、スリット後のシートの割れや重なりを防止します。結果として製品の歩留まり向上とロス低減を両立します。
染色槽・水洗槽・薬液槽工程
液中での膨潤や薬液付着によるたるみ・縦じわを防ぐため、槽内あるいは槽上の延伸ニップロール手前にしわ取りロールを設置します。
他にも、幅広い分野・工程でしわ取りロールは活用されています。しわ取りロールは歩留まり向上に貢献するだけでなく、後工程での不良発生リスクを低減し、生産効率の改善にも寄与します。また、材料の無駄を減らすことで、コスト削減にもつながります。
しわ取りロール導入後のメンテナンスまでサポート
K Converting Solutions株式会社はコンバーティングマシン関連の部品の製造、販売を行っており、ドイツ製のしわ取りロール「エコストレッチロール」をご用意しております。大きく滑らかでわずかに湾曲したロール接触面で、表面を傷つけることなく、しわのない拡幅を行います。2週間無償のお貸出し、基材をお持ち込みいただいてのテストも行っておりますので、詳細についてはお問い合わせください。
当社は、これまで培ってきた技術力と豊富な経験を活かし、お客様のニーズに合わせたオーダーメイドの製品をご提供しております。
高品質な製品を提供するだけでなく、導入後のメンテナンスまでサポートすることで、お客様の長期的な品質向上に貢献します。経験豊富な技術スタッフが、定期的なメンテナンスやトラブルシューティングなどきめ細やかに対応いたしますので、安心してご導入いただけます。
まずは、お気軽にお問い合わせください。
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しわ取りロールを活用するならK Converting Solutions株式会社
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